「すいか」「野ブタ。をプロデュース」などの作品で知られる脚本家、木皿泉さんより『転がる姉弟』へのコメントを頂きました。
ぜひ本編とあわせて読んでみて下さい。
「あたりまえ」って何だろうと思う。最初からあるもんじゃないんだよね。コツコツつくってきたもんなんだね。気をつかったりつかわれたり、やさしくしたりされたり、あげたりもらったり、そんなのが繰り返されて、固く踏みしめられた土が道になってゆくように、人と人の間に「あたりまえ」はつくられてゆくんだよなぁ。
おずおずと、どかどかと、許したり許されたりしながら、みなとと光志郎はこの後どんな「あたりまえ」をつくってゆくんだろう。そして、その様子を、いつまでもいつまでも見続けることができる仏壇の中のお母さんは、なんて幸せなんだろう。そうか、このマンガは、そのお母さんからのおすそわけなんだ。もっと生きたかったお母さんからの贈り物だ。ささやかな、でも大切な、みんなが見過ごすような幸せに、気づかせてくれてありがとう。
木皿泉